土用丑の日に、ウナギについて考える

28Jul - by SusTranslator - 0 - In 国連SDG

今年の土用丑の日は7月30日だそうですね。その日はウナギの蒲焼きを食べようと楽しみにしている方も多いと思いますが、その前にちょっと考えてほしいことがあります。

今から1年半ほど前の2014年11月にこんなニュースがあったのですが、ご記憶でしょうか。

この記事の見出しではクロマグロに注目していますが、記事本文を読むとわかるように、レッドリストを編纂する国際自然保護連合(IUCN)がいくつかの種を新たに絶滅危惧種に指定したという記事で、そのひとつとしてアメリカウナギが「絶滅危惧種1B類」に指定されたとあり、「ニホンウナギと同じで、危険度では2番目に該当する」と説明があります。ニホンウナギがレッドリストに追加されたのは同じく2014年の6月でした。

天然ウナギの価格が跳ね上がって庶民の食卓からはほど遠い存在になってしまったのもその頃からではないかと思いますが、絶滅の危険があるほど数が減っているなら仕方ない、養殖ウナギで我慢しようと考えている方、ちょっと待ってください。

ウナギはサケなどと違い、商業ベースで完全養殖する技術が確立されていません。完全養殖とは、卵から孵化させた仔魚を成魚まで育て、産卵・受精させるというサイクルをすべて人工環境で行う養殖のことで、天然の魚の漁獲量に影響されません。しかし、現在販売されている養殖ウナギは、天然のウナギの稚魚(シラスウナギ)を捕獲して成魚に育て上げるという手法で生産されています。

問題は、その稚魚が絶滅の危機にさらされていて、漁獲量が年々減っているという点。ニホンウナギの稚魚で養殖需要をまかなうのは難しいというので、代わりにウナギが広く使用されていました。

ではヨーロッパウナギはまだ豊富にいるのかというと、とんでもありません。ヨーロッパウナギの状況はニホンウナギ以上に深刻で、2008年に絶滅危惧IA類という最も危険なレベルに指定されており、2009年にはワシントン条約による国際取引規制の対象になっています。というわけで、入手が難しくなったヨーロッパウナギに代わって使われるようになったのがアメリカウナギで、その結果アメリカウナギもレッドリスト入りしてしまったというわけです。

国際取引されているウナギの7割は日本で消費されていると言われています。アメリカウナギも入手しにくくなったら今度は別の種に…と次々と標的を変えるうちに、日本人が地球上のあらゆるウナギを食べ尽くしてしまうという可能性もあるのです。

日本ではそのためかなり以前からウナギ完全養殖の研究が進められていて、2010年には「完全養殖に成功!」というニュースも流れています。それなのになぜ完全養殖ウナギが食卓にのらないのか?こちらのリンク記事に詳しい説明がありますが、要するにウナギの成長に長い時間がかかることと、成魚まで育て上げるのが技術的にも大変で、コストが非常に高いということ。今のところ完全養殖ウナギは天然ウナギ以上に希少で高価な存在なのです。

完全養殖ウナギが大量生産できるようになるまで、どのくらいの時間がかかるのか?これは今のところわかっていません。

こんな状況であるにもかかわらず、(天然シラスウナギを使った)養殖ウナギは簡単かつ安価に買うことができます。その大きな理由は、漁獲制限があるはずのシラスウナギが大量に密輸されていること。需要がある限りこれはなかなか阻止できません。

「そうは言っても土用丑の日のウナギは伝統だし毎年の楽しみ」という気持ちももっともです。でも、ウナギは1年に一度だけのご馳走にしておきませんか?土用丑の日の伝統をこれからも長く残すために。

参考リンク:

https://twitter.com/dantyutei/status/751976299229437953

 

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