ポケモンGOとリアルなバトル

世界で熱い話題になっているポケモンGOが、いよいよ日本でも今日から配信開始になったそうですね。Pokemon-Go_logo

ここ英国では1週間前にリリースされましたが、外に出ると早速スマホとにらめっこしながらポケモンを探し歩いている人達を見かけます。

我が家の周辺で出没しているポケモンハンターは中学生の男の子から20代前半くらいと思しき男性が多いですが、今日は小学生くらいの子がスマホを持った大人の女性(お母さんにしては年齢が離れている風貌だったので、おばあちゃんでしょうか?)と一緒に歩きながら遊び方の説明をしていました。テレビの政治番組では、党内クーデターで政治生命をかけたバトル中のコービン労働党党首(67歳)が、BBCの政治記者(36歳)の指導でポケモンをキャッチする姿が紹介されていました。

夏休みが始まった英国はここのところ夏日和。ふだんなら家にこもってゲームに興じる子ども(や大人)たちを野外に誘い出すゲームというのは良い着想だと思います。ファミコンやゲームボーイで世界を席巻し、子どもの健康問題の元凶と名指しで非難されることも多かった任天堂。Wiiにも言えることですが、そのあたりを気にして名誉挽回を図ろうとしているのでしょうか。

一方、ポケモンの分布がランダムなために、安全面の懸念もあるようです。英国配信開始の時には、トロント市のこんなツイートがさかんにリツイートされていました。

実際、車の運転中にポケモンを探していてパトカーに衝突したという事件もあったそうで、笑っている場合ではありません。また、ポケモンのいるところで待ち構えていた人に強盗されたという物騒なニュースもありました。

 

しかし、ポケモン関連の国際ニュースでいちばん悲しかったのはこのふたつ。

ボスニアでポケモンGOに興じるプレイヤーに対し、「地雷原には入らないように」という呼びかけがあったという記事です。

1990年代のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争では、無数の地雷が使われました。ばらまくのは簡単でも撤去には大変な労力がかかるのが地雷。1995年に戦いが終結してから20年以上が経った今も、ボスニア国内には立入禁止エリアがたくさんあり、戦後の地雷による死者数は約600人、負傷者は1,100人を超えると、この記事は伝えています。

 

一方、今も紛争が続くシリアからは、こんなニュースがありました。

ポケモンGOを使ってシリアの子どもたちの窮状を訴えるキャンペーンです。

BrewGooder: ビールを飲んで水を贈ろう

今朝、小包が届きました。

何も注文した覚えはないのになんだろうと首をかしげながら開けてみたら、出てきたのがこれ。

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そういえば、春先に目にとまった「ソーシャルバイトの設立者が今度はチャリティ支援ビールのプロジェクトを始動、現在クラウドファンディングで資金集めを開始」というニュース記事を見て、面白い着想だと感心して10ポンド出資していたのでした。すっかり忘れていたのですが、出資者特典として完成したビールが送られてくることになっていたのです。

このチャリティビール・BrewGooderのスローガンは”Drink Beer, Give Water”(ビールを飲んで水を贈ろう)。

ビールを売って得た利益の100%を、世界の貧困地域で安全な飲み水へのアクセス整備活動を行っているチャリティに寄付することを目的にした、非営利の社会企業なのです。そういえば、前述の記事の日付は2016年3月22日。世界水の日でした。

国連によると世界の40%の人が水不足の影響を受けており、地球温暖化の影響で今後さらに悪化することが予想されています。そのため、国連の持続可能な開発目標(SDGs)では、目標6を「安全な水とトイレをみんなに:すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」としています。

BrewGooderのビールは、その名も”Clean Water Lager”。ピルスナータイプの爽やかで飲みやすいビールです。製造元はスコットランドのパンクなクラフトビールメーカー、BrewDog(ブリュードッグ)。日本にも輸出していてクラフトビール専門店等で買える他、六本木(日本のサルサの聖地?サルサ・カリベのすぐ近く)にバーを出店しており、日本にもファンのいるメーカーです。英国各地のBrewDog店舗では、BrewGooderをドラフトで提供しているとのこと。今後取扱い店も徐々に増えていくと思いますので、もし見かけたらぜひ飲んでみてください。

男女均等議会への道は遠かった

2016年5月5日(木)はスコットランド議会選挙でした。

2014年9月のスコットランド独立投票の後辞任したアレックス・サーモンド(Alex Salmond)に代わってスコットランド国民党(SNP: Scottish National Party)党首・スコットランド首相に就任したニコラ・スタージョン(Nicola Sturgeon)は自他共に認めるフェミニスト。スコットランド初の女性首相として男女同数の内閣を率い、公共団体理事会の男女同数化を推進するなど、ジェンダー平等推進に取り組んできました。

女性リーダーを戴くのは与党SNPだけではありません。野党第一党の労働党は2015年から、第二党の保守党は2011年から女性が党首。三大政党の党首に加えて議長も2011年以来女性と、スコットランド議会では女性の活躍が目立っていました。今回の選挙でも、スタージョン首相は政治のジェンダー平等を目指すWomen 50:50キャンペーンに賛同し、議員の男女同数化に取り組むことを広く呼びかけていました。

ところが、蓋を開けてみると、期待とはうらはらに女性議員の比率は35%という残念な結果。女性議員が非常に少ない日本から見ると、1/3以上が女性議員という数字は大きく見えますが、前回(2011年選挙)も女性比率が35%だったので、努力にもかかわらずまったく増えなかったということになります。スコットランド議会では1999年の初回選挙で女性比率が37%、2003年には40%に達した過去があるので、意識的に取り組んだにもかかわらずこんな数字になってしまったのは、逆に驚きでした。なぜこんなことになったのでしょうか。

与党SNPは、候補者の女性比率を40%台に引き上げて選挙に臨みました。50%にできなかったのは再選を狙う現職議員が男性多数だったためですが、新人が出馬する選挙区についてはすべて女性候補を立て、女性議員比率を前回の28%から43%へと、大きく引き上げることができました。

それでも全体として女性議員比率が上がらなかった最大の要因は、保守党の大躍進と労働党の不振でした。労働党は1990年代から女性議員数拡大に取り組んできた実績があり、前回の選挙でも議員の女性比率は46%に達していました。今回もこの比率を維持したのですが、議席を大きく減らして野党第二党に転落してしまったため、女性議員数も減ってしまったのです。一方、議席倍増を果たした保守党はクオータ制に反対しており、今回の選挙では唯一、候補者選びの際に男女比にまったく配慮しなかった政党でした。候補者の女性比率は19%と低く、比例代表リストでも筆頭はほとんどが男性候補。男性100%のリストで戦った選挙区すらありました。最も大きく躍進した政党の女性比率がこれだけ低ければ、当然全体の足を引っ張ってしまいます。

しかし、最も失望が大きかったのは緑の党でした。男女同数化に賛同し、比例代表リストで候補を男女交互に並べる「ジッパー制」を採用し、さらにリストの半数は女性を筆頭に立てて選挙に臨んだのですが、議席を大きく増やして野党第三党になったにもかかわらず、当選者6人のうち女性議員は1人だけ。女性を筆頭にしたリストで戦った選挙区のほとんどでは、議席獲得を果たせなかったのです。この緑の党の結果を見ると、クオータ制も機械的に導入するだけでは不十分であり、勝てる見込みの高い選挙区に女性を配置する戦略的なアプローチが必要であることがわかります。